昭和名作館

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「少年探偵団 敵は原子潜航艇」~~月ロケットに夢をのせて

 

少年探偵団 敵は原子潜航艇
1959(昭和34)年/東映
監督:若林栄二郎
出演:梅宮辰夫/松島トモ子/植村謙二郎/神田隆/宇佐美淳也/峰博子


東映の少年探偵団シリーズ最終作。
ここまでの作品はすべて二部構成でしたが、本作のみ一話完結となっております。
本作が映画デビューとなる梅宮辰夫が明智小五郎を演じています。

 

【あらすじ】
小林博士(宇佐美淳也)が設計した月ロケット第一号が発射される前夜、小林邸に二十面相(植村謙二郎)が現れ、ロケット発射の妨害を予告。自衛隊や少年探偵団が警備にあたる中でロケット発射は決行されるが、ロケットは上空110キロ地点で国籍不明の潜水艇より発射されたミサイルに捕捉され爆破される。
第二号月ロケットの発射も計画されるが、二十面相はこれも妨害しようと動き出す。
二十面相のアジトを突き止めようとする明智(梅宮辰夫)の元へ、脅迫電話が入った。第二号ロケットの発射を邪魔されたくなければ、小林少年に5000万円を持ってこさせろというのだ。しかしこれは、二十面相の名を語る偽者の犯行であった。すぐに本物の二十面相が偽者の隠れ家に現れ、5000万円を奪った上、偽者二人をアジトへ連れ帰って自身の手下にする。
二十面相は本部からの指令で、第二号ロケットを妨害するミサイルL-04の開発に急いでいた。さらには、小林博士の娘・トモ子(松島トモ子)を誘拐。トモ子が電気椅子にかけられそうになったそのとき、L-04が突如炎上する…。


梅宮辰夫の明智小五郎は、名探偵ってよりは、ちょっと危険な匂いのする新人探偵みたいに見えますね。大人の薫り漂う岡田英次や波島進の明智とはまた違って、これも面白い。
二十面相との銃撃シーンはギャング映画のドンパチみたいな雰囲気で、結構見応えあります!

今回の二十面相は何かを盗むわけではなく、日本の発展や国際的地位向上をよく思わない某国に雇われてスパイとなり、様々な妨害工作を行います。
雇われ屋の二十面相って、どうなんでしょう…。なんかちょっとダサいかも(笑)前作で世界征服を企んでいた人と同一人物とは思えないですね。
そして今回も二十面相は詰めが甘すぎるし、二十面相とグルの潜航艇の司令も警戒心が無さすぎるし、よくこんなのでスパイとして雇ってもらえましたね…。
どこの国かは知らないけれど、こんなオマヌケさんたちをスパイで使っちゃいかんでしょ。

本作は1959年3月公開ですが、この年の1月にはソ連がルナ1号を打ち上げているんですよね。月ロケットを題材にしたのは、その辺の影響もあるのでしょうか。
日本の宇宙開発というテーマは、当時の少年たちにとってすごくワクワクするものだったでしょうね。

小林博士は月ロケット第一号について「人類平和のために欠くことのできない試み」と位置付けており、息子の小林少年からは「これが成功すると、日本も平和について強力な発言権が出来るんですね!」なんて言葉も。
そんなやりとりから敗戦国日本の悲しい現実が透けて見え、なんだかちょっと切なかったりもします。

国家の威信をかけて奮闘する研究者と、売国奴に成り下がった二十面相。
少年探偵団の口から「二十面相、お前はそれでも日本人か!」という台詞も飛び出すなど、作品全体から溢れんばかりの強烈な愛国心を感じます。

「もはや戦後ではない」が流行語になったのが1956年。
本作はそれから3年後の公開ですが、「近代化や科学技術の進歩を目指し、皆でこれからの日本を支えていこう!」という気概のようなものも感じられます。

一話完結の短い作品ですが、大人が観ても十分に楽しめる展開を見せてくれます。
シリーズ中で私が最も好きな作品であります。