昭和名作館

音楽・映画・本など・・・昭和作品あれこれ。

「あしたのジョー2」~~真っ白に燃え尽きて

あしたのジョー2
1981(昭和56)年/日本ヘラルド
監督:出崎統
主題歌:「あしたのジョー2のテーマ~明日への叫び~」ジョー山中
挿入歌:「青春の終章~JOE…FOREVER~」ジョー山中


劇場版『あしたのジョー』の続編です。
本作では力石戦後からラストまでを、一気に描いています。


力石の死から一年。放浪の旅に出ていたジョーが戻ってきた。
力石戦のショックから顔面に打ち込むことが出来なくなってしまったジョーだったが、周囲の励ましもあり、再び戦いに目覚める…。


本作ではカーロス・リベラやホセ・メンドーサなどが登場しますが、カーロス戦はかなりアッサリ終わってしまいますし、話の大半はホセ・メンドーサ関連に費やされています。

金竜飛にいたっては、試合のダイジェスト映像が40秒ほど流れるだけです。
流血しているジョーを見た金が悲鳴をあげるシーンがありますが、なんの予備知識もない人が見たら、一体何が起こっているのかわからないかと思います。
金竜飛は、なぜ血を見ると発狂するのか?これは、幼少時に朝鮮戦争の混乱の中で金自身が引き起こしてしまった悲しい事件が原因であるわけですが、この部分は私が原作の中ですごくショックを受けたエピソードでした。私個人的に、金竜飛のエピソードはもう少ししっかり入れてほしかったところです。

その後のハリマオ戦も何の説明もなく始まるし、原作をご存知ない方には、よくわからないシーンが続いてしまうかもしれません。

戻ってきたカーロス・リベラとのやり取りをしっかり入れてくれたのはよかったですね。
ジョーのカーロスに対する愛、そしてパンチドランカーに対する恐怖…。
どんなに強がって気付かないフリをしていたって、忍び寄る影に対する恐怖は隠しきれないのです。

他の若者たちが楽しく青春を謳歌する中、ひたすら殴り合いに命をかけるジョーに対し、紀子が涙ながらに「矢吹君は寂しくないの?」と問いかけるシーンがありますが、この紀子の気持が少しだけわかるような気がします。
ボクシングの試合を生で観戦したことがありますが、その圧倒的な迫力を目の前にして、「この人たちが殴り合う理由は何なのだろう?ここまで苦しい思いをしてまで守りたいものは何なのだろう?」と考えたことがあります。周りが何を問いかけたところで、その答えは選手本人にしかわからないわけですが、生で観るボクシングの強烈なエネルギーを感じながら、色々な思いが頭の中を巡り、何だかとても切ない気持ちになったのを覚えています。

本作に話を戻しますが、前年公開の『あしたのジョー』よりも端折られてる感はさらに強いように思いました。これも前作同様、あくまでダイジェスト版と割り切って観るのがよろしいかと。

ちばてつやの自伝エッセイを読んだことがありますが、『あしたのジョー』をすべて描き終えた後、彼自身も燃え尽き症候群のようになってしまった…というようなことが書かれていました。それだけ作り手の思い入れも強い作品ということですね。

ラストの解釈は人によって分かれるところかと思いますが、私はジョーは間違いなくその後も生き続けていると思っています。
彼は今もどこかの街を彷徨っているのかもしれませんね。