昭和名作館

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「あしたのジョー(1980)」~~力石徹の最期

あしたのジョー
1980(昭和55)年/富士映画=日本ヘラルド映画
監督:福田陽一郎
主題歌:「あしたのジョー~美しき狼たち~」おぼたけし
挿入歌:「K・O(ノック・アウト)」シミズヤスオ


1970年から71年までフジテレビ系列で放送されたアニメ『あしたのジョー』の劇場版。
テレビアニメの再編集版で、本作では力石戦までが描かれています。


非行を重ね少年院に収監された矢吹丈。矢吹の素質に惚れこんでいた元プロボクサー・丹下段平は、ボクシングの基本をレクチャーするために矢吹の元へ毎日ハガキを送り続ける。少年院での生活の中で、矢吹は西寛一や力石徹と出会い、慰問でやってきた白木財閥の令嬢・葉子とも知り合う。
やがて出所した力石はプロボクシングの世界に復帰し活躍。ジョーも出所後ボクシングのプロテストに合格すると快進撃を続け、ついに力石との直接対決が組まれる…。


私はリアルタイムで『あしたのジョー』のテレビアニメを見ていた世代ではありませんが、原作は読んでおり、個人的にこれはスポ根漫画の最高峰の作品だと思っています。

院内での矢吹・力石との対戦がキッカケとなって、誰に言われるでもなく院内に秩序が生まれる…あのシーンはいいですね。不良たちの目の色が変わり、本来持っている純粋な輝きを取り戻した瞬間。人間らしさが溢れている素晴らしいシーンです。

ただ、劇場版では端折られている部分がかなり多く、原作やテレビアニメを見ていない人だとわからない点も出てくるかもしれません。
ジョーVSウルフ金串戦の後、唐突に力石の減量が始まったり…と、かなり早足で進んでいきます。
連載開始から力石戦まで結構長いのに、それを約2時間半の枠に詰め込んでいるので、色んな部分がすっ飛ばされてしまっているのは仕方ないと言えば仕方ないのですが…。あくまでダイジェスト版…という認識で観られるのがよいかと思います。

力石戦はあまりにも有名なエピソードですし、その結末はわかっていても、やはり泣けますね。力石の葬式が実際に行われたのも、なにも不思議なことだとは思いません。
ジョーと力石、二人の出会いの場面は不穏な空気が漂っていますが、その後の二人が互いを認め好敵手として尊敬し高め合う姿は、まさに男の世界といった感じ。女には決して入り込めない何かを感じるのですが、それゆえにこのような熱い友情には憧れるのです。

『あしたのジョー2』の方が画はキレイなのですが、本作で見られる線の太い荒々しい作画には力強いエネルギーが感じられ、これが鬼気迫る力石に魂を吹き込んでいるような気がして、私は本作の画の方が好きだったりします。