昭和名作館

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「刑事物語 くろしおの詩」~~砂に書いた893

刑事物語 くろしおの詩
1985(昭和60)年/東宝
監督:渡邊祐介
出演:武田鉄矢/相原友子/石橋蓮司/三浦浩一/佐藤京一/神保美喜/原知佐子/渋谷哲平/長門勇/三波春夫/植木等/大友柳太朗
主題歌:「唇をかみしめて」吉田拓郎


武田鉄矢主演の刑事物語シリーズの四作目。本作のタイトルには「刑事物語」の後に「4」が付かない(DVDのパッケージでは「刑事物語4」となっているみたいだが…)。
本作では高知県を舞台に、片山がおとり捜査のために組の構成員となり奮闘する。


刑事の片山元(武田鉄矢)は、列車で犯人(柳亭楽輔)を護送中、腹痛を訴える妊婦の桃子(相原友子)に気を取られて犯人に逃げられる。犯人はどうにか捕まったものの、片山は署長の植田(植木等)からクビを言い渡され、職安へ行くよう言われる。職安の所長・吉田茂(三波春夫)からキャバレーのボーイの仕事を紹介された片山は、嫌々ながらも受けることにする。
実は、片山は警察をクビになったのではなく、おとり捜査のためにキャバレーに送り込まれたのだった。
そんなこととは知らない片山は、キャバレーの同僚で山梨組組員の健(三浦浩一)に連れられて山梨組会長・山梨剛造(大友柳太朗)と面会、ワケもわからぬうちに山梨組の杯を貰うことに…。


コメディ色の強い本作。何も考えずに笑いながら観るには最高の娯楽作品だと思う。
植木等の気色悪い女装姿とか、私は結構好きだったりする(笑)
本作ではハンガーだけでなくゴルフクラブを使ったアクションも披露しているので、これまた要注目!

色んな人がチョイ役で出てくるので、それを探しながら観るのもまた楽し。
中でも、吉田拓郎はなかなかいい仕事してますね(笑)
他にも、大仁田厚や関口宏なんかが色んなところに紛れ込んでいる。
大仁田は石橋蓮司の手下役で、出演シーンが多い割にはあまり存在感なく、目立っているのはラストの格闘シーンくらいか。
関口宏はキャバレーの客の役で出ているが、かなり注意して観てないと気づかないかも。

本作で一番惹かれるキャラは、大友柳太朗が演じる山梨剛造。昔気質の侠客である。
剛造さんはゲームとアニメと甘い物が大好きという可愛らしい一面を持つジイさんなのだが、シャンと背筋の伸びた美しい立ち居振る舞いは流石といったところ。
彼が語った蒟蒻の裏表の話はなかなか深い。ヤーさんの世界の話に限らず、私たちが生きているこの世界に存在する物事というのは全て表裏一体なのではないか。結局は自分が何を見ようとするか、どちら側の人間であろうとするかで、世界は全く違った見え方になってくるものなのだと思う。
なんとも魅力的なキャラクターを演じた大友柳太朗だが、残念なことにこの映画が公開される二週間前に亡くなっている。

それにしても、組の看板を下ろすときって、あんなにアッサリしたものなんだろうか。「明日からまっとうな仕事を探すように」って突然言われても困るだろうに(´・ω・`)

片山のお人好しキャラは相変わらず。
本作ではカオル(神保美喜)と桃子(相原友子)という二人の女性が出てくるが、結局いいように利用されただけにしか見えず、お決まりパターンとはいえ切ない。
片山が「惚れた女ができた」と桃子に言うシーンは、『トラック野郎 故郷特急便』のラストで「迷惑だぜ!」と言い放つ桃次郎と少しだけ被る。
片山の場合は寂しい男の強がりみたいなところもあるけれど、恨みつらみを言わずに相手の幸せを願うことが出来る純粋さという点においては、片山も桃次郎も同じなのかな…と思うのだった。