昭和名作館

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「トラック野郎 故郷特急便」~~偉大なる音楽家・星桃次郎

トラック野郎 故郷特急便
1979(昭和54)年/東映
監督:鈴木則文
出演:菅原文太/愛川欽也/石川さゆり/森下愛子/原田大二郎/大坂志郎/安部徹/春川ますみ
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太・愛川欽也
挿入歌:「傷だらけの恋」石川さゆり

 

トラック野郎シリーズの記念すべき10作目。本作はシリーズで唯一マドンナを二人立てた作品である。
「トラック野郎10本記念映画」とオープニングで流れるのだが、これが最終作になろうとは公開時点では誰も思っていなかっただろう。


桃次郎(菅原文太)とジョナサン(愛川欽也)は、とあるドライブインの駐車場で土佐犬を連れた男(原田大二郎)と揉める。
その後、高知行きのフェリーに乗った二人は、ドサ回り中の歌手・小野川結花(石川さゆり)に出会う。高知へ着くとジョナサンは目の不調を訴え、それを苦にして足摺岬から飛び降りようとするが、通りすがりの西尾風美子(森下愛子)に助けられる。
桃次郎は、結花と風美子、二人の女に熱をあげる。
風美子の家には病気の母(小畠絹子)が居た。隣家に住む垣内清馬(大坂志郎)は、6年前に行方不明になった息子の隆二が戻ってきたら風美子を嫁に貰うと決めているという…。


今回はマドンナ登場時のお星さまキラキラがカラーになってパワーアップ!10回記念作品だから?

流行りモノ枠では、君江(春川ますみ)と子どもたちがガムパッチを食べている。
ガムパッチって食べた記憶ないんだけど、ドンパッチやわたパチはよく食べていたので懐かしい。

そして、今回も桃さんの驚異の経歴が明らかに!
武蔵野音大演歌部出身の桃さん、北島三郎は大学時代のクラスメイトで「ぼくのクラスの劣等生だった」とのこと。さらに、かの有名なフルガ先生(古賀政男)は大学時代の恩師だったらしい。
そんな輝かしい捏造の経歴をお持ちの桃さんは、マドンナのために『結花に笹げるバーラド』を作詞・作曲・変局するというマルチな才能を発揮する。
桃さんの虚言癖はいつも通りなのだが、ちゃんと譜面も書いてきてたので、一応それなりに音楽の素養や才能はあったのだろうか??…と思ったが、よくよく見ると譜面の書き方はメチャクチャで、謎のオタマジャクシが描いてあったりする。あぁ、これはやっぱりいつもの桃さんだわ…という変な安心感に包まれてしまった(笑)っていうか、この曲って古賀政男作曲の『人生劇場』まんま丸パクリだし、作曲したのはお前じゃないだろー!!

ところで、石川さゆりが海に落とした楽譜を桃さんが海に飛び込んで拾うシーンがあるのだが、いつの間に泳げるようになったのか?桃さんはカナヅチだったはずだけど…。

本作の桃さんは、なんだか小林旭っぽい雰囲気ぷんぷん。
キャバレーで暴れるところは渡り鳥シリーズの滝伸次みたいだし、『南国土佐を後にして』が全編に使われているあたりはアキラ主演の同名映画を思い起こさせる。

ついでに、桃さんがドラムをドコドコっと叩くシーンはちょっと裕次郎を意識??

日活アクション映画っぽい空気が漂いまくり!!
まぁ、桃さんが楽しそうでなにより。

マドンナが病気の母ちゃん抱えて必死で生きてたり、売れないドサ回りの歌手の悲哀が描かれていたりと、まさに「ザ・昭和」といった趣の作品。

片平なぎさのとき以来の幸せのチャンスが到来するが、それをなげうった桃さんは男だ。結花の夢のために敢えて突き放すところに、桃さんの深い愛と優しさを感じずにはいられない。
別れ際の「迷惑だぜ!」の台詞は、このシリーズ一番の名言だろう。男も女も、桃さんのこの台詞にはビリビリ痺れること間違いなし!

結局この作品が最終作となってしまったわけだが、シリーズの最後を飾るのにふさわしい大傑作だった。

ラストの『南国土佐を後にして』を聴きながら、これで最後かという寂しさと、ここまで楽しませてくれた男気溢れるエンターテイナー・桃さんへの感謝の気持があふれ、涙が止まらなかった。