昭和名作館

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「トラック野郎 突撃一番星」~~イルカに乗った桃次郎

トラック野郎 突撃一番星
1978(昭和53)年/東映
監督:鈴木則文
出演:菅原文太/愛川欽也/せんだみつお/原田美枝子/川谷拓三/樹木希林/辰巳柳太郎/中村玉緒
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太・愛川欽也


マドンナに原田美枝子を迎えたシリーズ第7弾。
本作より三番星こと桶川玉三郎が登場する。また、シリーズで唯一、桃次郎のライバルがトラッカーではなく養殖真珠の研究員となっている。


セールスマンの玉三郎(せんだみつお)から4万5000円で粗悪品のスーツを売りつけられた桃次郎(菅原文太)とジョナサン(愛川欽也)。激怒した二人は玉三郎を捕まえてボコボコにするが、玉三郎は「自分も以前はトラック野郎だった。助手で使ってほしい」と懇願。仕方なくジョナサンが引き取ることになる。
桃次郎は夜道で出会ったイルカ調教師の月田えり子(原田美枝子)に一目惚れ。えり子は玉三郎の幼馴染だった。
ある日、玉三郎の元へ父親(辰巳柳太郎)から手紙が届く。玉三郎は「運送会社の社長をやっている」と父親に嘘をついていたのだが、その嘘を信じた父が出世した息子に会うため上京してくるというのだ…。


映画『未知との遭遇』などがヒットしていた頃だから、オープニングから宇宙ネタを色々ぶっ込んできている。
トラックの行灯が「未知との遭遇」「百万光年 宇宙の旅」になっていたり、桃さんの一番星号が空を飛んだり…『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンより何年も前に、桃さんはトラックで空を飛んでいたのだ。
桃さんはUFO狂と化し、異星人と交信するために常に怪しい交信機を携帯、夜道で出会った原田美枝子を宇宙人と勘違いしてしまう始末。しかし、彼女が普通の人間だとわかると、それまでのUFO狂の設定はどこかへいってしまった。どうせなら最後までUFOネタで引っ張って、もっとぶっ飛んだ展開を見せてほしかった。

マドンナの原田美枝子はちょっと地味だし、桃さんと並ぶと親子にしか見えない。むしろ樹木希林の方が桃さんにはお似合いだと思うのだ。
今回に限っては、マドンナじゃなくて樹木希林とくっついちゃえよと思ってしまった。

ライバル役の川谷拓三は、「昭和の御木本幸吉」の異名を取る養殖真珠の研究者なのだが、ライバルがトラック野郎でなくとも、これはこれですごくよかった。
ただ、川谷拓三と原田美枝子の組み合わせも、やっぱり恋人というよりは親子っぽく見えてしまう。

本作からせんだみつおが登場するのだが、彼が演じる玉三郎というキャラが相当ウザい(笑)
今回の玉三郎に関するエピソードは、フランク・キャプラの『一日だけの淑女』がモチーフになっているらしいのだが、これがなかなかよい。『一日だけの淑女』のハッピーエンドとは違って、嘘は思いっきりバレてるし、玉三郎のクズっぷりばかりが目立つし、全部気付いてしまった父ちゃんの心情を思うと泣ける。しかし、あの騒動の中で「こんな立派な父ちゃんに育てられた自分は幸せだ」と気付いて、心を入れ替えて真っ直ぐに生きていく決心が出来たなら、それはそれである意味幸せなことなのかもしれない。

ひとつひとつのエピソードが中途半端でシリーズの中でも印象が薄い作品だったが、玉三郎のエピソードと、当時流行っていた宇宙ネタが楽しめたのはよかった。