昭和名作館

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「幸福の黄色いハンカチ」~~もし、待っててくれるなら…

幸福の黄色いハンカチ
1977(昭和52)年/松竹
監督:山田洋次
出演:高倉健/倍賞千恵子/武田鉄矢/桃井かおり/渥美清


任侠映画のスターだった高倉健の役者人生の転機ともいえる本作。
あまりにも有名すぎる作品なので、観たことがない人でもあのラストは誰でも知っているのではないだろうか。


失恋のショックから突然会社を辞めた花田欽也(武田鉄矢)は、新車の赤いファミリアで一人北海道へ旅に出る。網走駅前で朱美(桃井かおり)をナンパした欽也。朱美もまた失恋し、東京から一人傷心旅行に来ていたのだった。
同じころ、元炭鉱夫の島勇作(高倉健)は刑期を終えて網走刑務所から出所し、郵便局から夕張へ一枚のハガキを出した。
ドライブの途中で海岸に立ち寄った欽也と朱美は、その場にいた勇作に写真を撮ってもらい、それが縁で勇作も一緒に車に乗せて、三人の旅が始まった…。


私は何度か鑑賞しているのだが、この作品は倍賞千恵子の健気さに泣ける映画なのだと最近気づいたわ。

初見のときは何も考えずにただ素直に感動したのだが、何度か観るうちに何か引っかかる感じを覚えるように。
よくよく考えたら、健さんが演じる島勇作という男の生き方って決して褒められたもんじゃないし、寧ろ酷い男なんだよなぁ、と。

桃井かおりが「悪いけど勇さんの奥さんって冷たいね」とか言ってたけど、なぜそうなるのかも理解できない。
普通に考えたら倍賞千恵子の方から離婚切り出したっていいくらいだろう。

観る側が勝手に高倉健のイメージを役に投影してしまって、島勇作という人間が美化されすぎてしまっている感じがする。
不器用な男を描きたかったのはわかるのだが、どうも感情移入できない。

観れば観るほどなんだかスッキリしない展開だけど、途中チラッと出てくるたこ八郎は最高だわ。
さすが元プロボクサーだけあって、パンチの迫力は半端ない!
子どもの頃、この人大好きだったんだよね。懐かしいな。
本作ではコワイ男の役だけど、彼の顔を見ていると、なぜか笑ってしまいそうにもなるし、涙が出そうにもなる。
若くして亡くなってしまったのが本当に惜しい人だ。

 

結末はわかっていても、ラストは何度観てもやっぱり泣ける。

でもそれは「健さん、よかったな!」っていう気持からじゃない。
いかにも薄幸そうな倍賞千恵子が報われてよかったっていう涙なんだよ。

物干し竿で風にゆれる汚れたエプロンが、それまでの彼女の苦労を物語っている気がして泣けるのだ。