昭和名作館

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「若い人(1962)」~~愛に飢えた女子高生の激情

若い人
1962(昭和37)年/日活
監督:西河克己
出演:石原裕次郎/浅丘ルリ子/吉永小百合/三浦充子/北村和夫/大坂志郎
主題歌:「若い人」石原裕次郎


原作は石坂洋次郎の長編小説。
地方の高校生と若い教師の恋模様を描いた青春モノ。


間崎慎太郎(石原裕次郎)は、ミッション系の女子高に勤める数学教師。
生徒の一人、江波恵子(吉永小百合)は捻くれた変わり者だった。
あるとき、間崎は同僚の橋本スミ子(浅丘ルリ子)から江波が書いた作文を見せられる。自分は私生児であるとの告白の作文であった。彼女は父親の愛に飢えていたのである。
東京への修学旅行。最終日の夜、江波が宿から消えた。間崎は必死に彼女を探し回り、ついに見つける。江波は間崎に「私のこと好き?」と聞く。間崎は目を反らして「あぁ、好きだよ」と答える。
修学旅行から戻った後、校内に妙な噂が流れる。江波が間崎の子どもを身籠ったというのだ。間崎には身に覚えのないことだった。スミ子は、その噂の出所は江波自身ではないかと間崎に話す…。


この作品は1937年、52年、62年、77年と4度映画化されており、本作は3度目の映画化作品。
これはこれで十分面白いのだが、原作や他の3本と比べてみたいとも思った。

裕次郎とルリ子は教師役が似合わないな~と思ったのは私だけだろうか?
なんだか違和感ありありで、コレジャナイ感が。
ルリ子は相変わらず美しいのだが、この作品のルリ子には何故だかあまり魅力を感じないんだよね。
裕次郎とルリ子が互いに好意を抱いているのはわかるのだが、そこらへんの二人の心理がイマイチよく見えてこない。薄いんだよね。原作ではこの二人が心を通わせる様子はどのように描かれているのだろう。

吉永小百合が演じるのは、かなり激しく難しい役柄。
大坂志郎の台詞にもあったが、幼い頃から「女」である母親を見て育つというのは、どれだけの苦痛であったか。
特に物語後半、裕次郎が吉永家を家庭訪問する場面では、その悲惨な家庭環境をまざまざと見せつけられる。
あんな環境で育ったらフツーはもっと荒れそうなもんだが、そんな影はひた隠し一応は笑顔で学生生活を送っている彼女のその精神力たるや、なかなか強靭なものではないかと思わせる。
そんな彼女が裕次郎だけには心を許し、慕い、激しく求愛するその姿には心打たれるものがある。脆い自分をさらけ出せる唯一の拠り所なのである。

人は生まれてくる環境は選べない。
しかし、無いものねだりをしたところで人生がどうなるというわけでもない。
「他人に幸せにしてもらおうなんて厚かましい」
村瀬幸子の台詞である。
どのような人生が展開していくかは、結局は自分次第なのである。
他人に依存した幸せなんて、時が経てば泡のように消えるだけ。
本当に幸せになりたいのなら、自分の中に光を見出すしかない。

ラスト、海で一人佇む小百合。
仮に裕次郎と結ばれたとしても、幸せになれたかどうかは誰にもわからない。
幸せな未来は彼女自身で作り上げていくしかないのだ。