昭和名作館

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「ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを」~~メソメソ弱虫ショーケンの成長物語

ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを
1969(昭和44)年/東宝
監督:内川清一郎
出演:ザ・テンプターズ(萩原健一/高久昇/松崎由治/大口広司/田中俊夫)/聖ミカ/新珠三千代/山岡久乃/須賀不二男/名古屋章/堺正章


タイガースと双璧の人気を誇ったテンプターズの唯一の主演映画。
後に俳優として活躍するショーケンや大口広司の映画デビュー作といってよいのでは。

 

ショーケン(萩原健一)は文化祭のクラス対抗ものまねコンテストで優勝するが、それが気に入らない番長のアキモト(保高正伸)に因縁をつけられ、大事に飼っていたハトのゴローを殺されてしまう。ひどく落ち込むが、ヨッチン(松崎由治)らの励しや美香(聖ミカ)の助けもあって、バンドを結成する。
元気を取り戻したショーケンだったが、母親に訪れた恋の気配にショックを受け、家を出てしまう…。


弱虫のショーケンの成長や親子愛などを描いたファンタジー・コメディ。
個人的にはGS映画の中では結構好きな作品。
他のGS映画と比べると全体的に暗いんだけど、そこがいいんだよ。

『純愛』を熱唱するショーケンが、突如アニメーションの妖怪?に襲われるオープニングが秀逸。
まるで鬼太郎の世界に迷い込んだかのようなおどろおどろしい雰囲気は、ショーケンの身に降りかかる災難を暗示するかのようだ。

ショーケンは母親(新珠三千代)が働くスーパーでバイトしている…という設定なのだが、この店がスーパーというよりも海外のデパートっぽい雰囲気。金持ちマダムが毎日買物に来てるし。その割に従業員のユニフォームは高級感ゼロっていうのが、なんとも不思議で面白い。

文化祭のモノマネ大会で優勝したショーケンは、優勝を狙っていた番長に因縁をつけられるわけだが、たかだか文化祭のモノマネ大会の優勝逃したくらいで絡んでくる不良とかほんとヒマすぎ(笑)。
そもそもショーケンがモノマネ大会に出場するハメになったのは、元々出場する予定だったクラスメイトが番長にボコられて出場できなくなったから。このクラスメイトは丸山明宏(美輪明宏)のモノマネを披露する予定だったのだが、そのモノマネが激似で爆笑!!
ショーケンはこのモノマネ大会でピンキーとキラーズの『恋の季節』を振り付きで披露しているのだが、これがすごいイケてるんだわ。衣装もお似合いでステキよ!スタイル抜群だから何着ても様になるし、あのクセのある歌声も何歌ってもカッコイイんだよな~。本当に惚れ惚れしてしまう。

そしてGS映画のお楽しみ、演奏シーンはやっぱりカッコイイ!!
『神様お願い!』『涙のあとに微笑みを』『おかあさん』の3曲は、物語の展開と上手く絡んでる。新珠三千代とショーケンの親子愛は『おかあさん』をモチーフにしているんだと思うが、これがぴったりハマっている。
『おかあさん』はテンプターズの曲の中では異色の作品。雑誌『週刊平凡』の公募で選ばれた詞に、ヨッチンが補作詞・作曲したもの。「オ~ ママ・ママー♪」で始まる湿っぽいこの曲、初めて聴いたときは「なんだこりゃ」と思ったもんだが、こうして物語の展開と併せて聴いてみるとなかなかグッとくるものがあって素晴らしい。

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この作品では、GS映画ではお約束みたいになっているメンバーとヒロインのラブロマンスがないんだよね。
ショーケンと聖ミカがドキドキの展開になるのか?とちょっと期待したのだが、そういうのは一切なかった。その代わりに、周りの大人たちの恋物語が展開される。
まあ、こういう爽やかな男女の純粋な友情っていうのもよいかもしれない。
ただ、ヒロインの聖ミカの影が薄すぎるのが気になった。
ちなみに、聖ミカはこの作品が唯一の映画出演で、その後レコード一枚を発表して芸能界を引退している(80年代に活動していた女優の聖ミカは全くの別人)。

ショーケンの出生の秘密が明かされたりと、途中ちょっとシリアスな展開になるのだが、泣き虫で弱虫のショーケンが成長して周りはみんなハッピーになってくれたし、最後はホッコリして笑顔で鑑賞を終えたのだった。
魔法を使ったり、ハトが幸せを運んできてくれたり、神様(堺正章)が登場したりと、ほのぼのファンタジーの世界。
中途半端なファンタジーだと言う人もいるかもしれないけど、GS映画ってこういうモンだと思うし、学芸会っぽい雰囲気さえも愛おしくて仕方ない。
かっこいいテンプターズの世界を堪能できるだけでも最高!!

テンプターズの主演映画が、GSブームも下火になってきた時期に公開されたコレ一本だけっていうのがなんとも勿体ない。

ショーケンやヨッチンが良い演技をしていたし、もっとテンプターズの映画が観たかった。