昭和名作館

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「桃太郎 海の神兵」~~意外な楽しさ広がる、動物たちが繰り広げるミュージカル

桃太郎 海の神兵
1945(昭和20)年/松竹


1943(昭和18)年に公開されたプロパガンダアニメ映画『桃太郎の海鷲』の姉妹編。
敗戦後にGHQによってフィルムが焼却処分されたと思われていたのが1982(昭和57)年に松竹の倉庫で見つかり、再公開もされている。

『桃太郎の海鷲』は真珠湾攻撃をモデルにした作品だったが、本作はセレベス島への落下傘奇襲作戦を題材にしている。

 

 海軍の兵隊に行っていたキジ・猿・犬・熊が休暇で故郷へ帰るところから話が始まる。

のどかな田舎の里山風景、家族と過ごす穏やかな時間はとても美しく、思わずホロっとくる。助け合い精神も見て取れて、古き良き日本人の美しい精神がそこにあると感じた。
何気ない日常の風景を切り取ったシーンだが、これは平和そのもの。
製作に当たったアニメーターたちだって、本当はプロパガンダなんかじゃなく、このシーンに象徴されるような平和な作品が作りたかっただろう。

動物たちが楽しく歌い、ミュージカル風に物語が展開していく。
随所に散りばめられている楽しい歌の数々…サトウハチローと古関裕而の豪華タッグによるこれらの作品は本当に素晴らしく、一聴の価値あり!

戦闘シーンは『桃太郎の海鷲』よりもこちらの方がリアル。
落下傘の降下シーンなど、ひとつひとつのパーツが本当に丁寧に作られていて感心する。

ラストシーンもすごい好きだわ。
みそっかすのチビちゃんが「お兄ちゃんも頑張ってるんだ、僕も頑張るぞ!!」的な。よしよし、オマエも強くなるんだぞ~!と、思わず微笑んでしまったところで、ジャジャーン!と終了。


果たして本当に戦意高揚に繋がったのかどうかは謎だが、純粋にアニメ作品としては本当に素晴らしいと思う。
プロパガンダ映画って聞いただけで拒否反応を起こして観るのを避けてしまう人もいるかもしれないけれど、偏見は捨てて一度観てみてほしい。
戦時中にこんなに素晴らしい作品が作られていたことにビックリするはず。