昭和名作館

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「黒い雨」~~二次被爆の恐怖

黒い雨
1989(平成元)年/東映
監督:今村昌平
出演:田中好子/北村和夫/市原悦子/原ひさ子/石田圭祐


原作は井伏鱒二の同名小説。

主人公の矢須子(田中好子)は、直接の被爆はしていないものの、舟の上で黒い雨に打たれる。
二次被爆の恐怖、原爆によって人生を狂わされた人々の様子が淡々と描かれている。


原爆投下直後の町を歩き回るシーンは思わず目を覆いたくなる。

見合いが上手くいかない主人公、怪しい祈祷師に頼りだす叔母(市原悦子)…。
色んな人の人生が徐々に狂っていく。
「世間というのは悪い噂の方を信じたがる」という言葉が突き刺さる。

復員兵がPTSDに苦しめられるという話はよく聞くが、エンジン音に怯える特攻帰りの青年(石田圭祐)なんかは、まさにそれ。
戦争が終わって何年も経っても、見えない敵との戦いは永遠に続いているわけです。

静かな日常が、少しずつ音を立てて崩れていく恐怖。

一見とても健康そうに見えても、あるとき突然発症する原爆症。
周囲で一人、また一人と死んでいくのを目の当たりにしながら、自らの身にもいつかやってくるであろう発症の時を待つ恐怖というのは、どれだけのものだったのだろう。

静かに淡々と展開していくが、そこにとてつもない恐怖を感じる作品です。


広島平和記念資料館に、原爆投下からわずか3時間後に撮影された写真が大パネルで展示されていたと記憶しているが、あの写真に写っていた子どもたちは、その後どうなったんだろう。撮影したカメラマンも。
広島・長崎とは縁もなく当時を知らない人間が軽々しく語るべきではないのかもしれないけれど、戦後70年の節目、今だからこそ、何があったのか知る必要があるのでは。