昭和名作館

音楽・映画・本など・・・昭和作品あれこれ。

「そよかぜ」~~戦後の街に響く『リンゴの唄』

そよかぜ
1945(昭和20)年10月/松竹
監督:佐々木康
出演:並木路子/上原謙/佐野周二/斎藤達雄


戦後GHQの検閲を通過した作品第1号であり、「リンゴの唄」で有名な映画『そよかぜ』。

レビュー劇場の照明係の少女みち(並木路子)が、やがて夢見ていた歌手となりスターダムを駆け上がるシンデレラストーリー。
楽団員の横山(佐野周二)との恋模様も描かれた、爽やかな作品!!


戦後初公開の映画ってどういうものぞ?ってな感じで鑑賞。

主人公のみちは精一杯背伸びしているが、まだまだ幼さが残り、18歳という設定のわりには子どもっぽく感じる。あまりにもガキっぽいので、ちょっとイラッとさせられてしまう場面も。
横山は今でいうツンデレボーイ。こういう不器用で素直じゃない男子、私はキライじゃないよ!
みちと横山の会えば憎まれ口を叩き合うやりとりは、小学生かよ幼稚だなぁと思う反面、あぁなんかこういう酸っぱい感じ、懐かしいなぁ、いいなぁと思っちゃったり。
それだけ私も年取ったということなんだろうか…。頭の中だけはまだ高校生ぐらいのつもりなのだが(´・ω・`)

並木路子がスターへの道を駆け上がるサクセスストーリーが軸になっているのだが、これがなんだかイマイチ盛り上がらず…。
なんていうの、もうちょっとドラマが見たかった。
佐野周二がカッコよかったので、私は彼に夢中になってしまい、途中からステージの話は割とどうでもよくなってしまった…というのが素直な感想です(恥)

「リンゴの唄」と、リンゴのようにちょっと甘酸っぱい恋。
爽やかな後味が残りますね~。


そして今更なのだが、私はこの作品について一つ大きな勘違いをしていた。
この作品は「リンゴの唄」で始まり「リンゴの唄」で終わるので、てっきりコレが主題歌だと思い込んでいたのだが、実はこれが主題歌ではなく挿入歌だった。
この映画の主題歌でタイトルにもなっている「そよかぜ」は、劇中で上原謙が婚約者のために曲をつけて、それを婚約者がステージで歌う…という設定なのだが、これがほぼ空気。主題歌の存在感の無さに泣ける。この曲のエピソードをもっと膨らませてもよかったんじゃないかと思ったりもする。

とはいえ、全編に音楽がふんだんに使われ、当時のレヴューの雰囲気も存分に味わえる楽しい作品だと思う。
ストーリーはよくある話だけど、そんなことはどうだっていいんだよ。若さ溢れる並木路子のはじける笑顔と、明るい歌声が聴けただけで幸せ!
「リンゴの唄」に希望を見た当時の人たちに思いを馳せるのもまた一興ですね。