昭和名作館

音楽・映画・本など・・・昭和作品あれこれ。

「銀座の恋の物語」~~ふたりの愛をつなぐ歌

銀座の恋の物語
1962(昭和37)年/日活
監督:蔵原惟繕
出演:石原裕次郎/浅丘ルリ子/ジェリー藤尾/江利チエミ/清水将夫/清川虹子/高品格/和泉雅子/深江章喜/牧村旬子
主題歌:「銀座の恋の物語」石原裕次郎・牧村旬子
            「東京の日曜日」石原裕次郎
挿入歌:「ノッポの彼氏とオチビの彼女」江利チエミ


1961(昭和36)年にリリースされた石原裕次郎・牧村旬子のデュエット曲『銀座の恋の物語』を題材とした青春歌謡映画です。
当時の銀座の街並みをたっぷり堪能できるのがとても楽しい!撮影には日活銀座(オープンセット)も使われています。

 

【あらすじ】
絵描きの伴次郎(石原裕次郎)は、ジャズピアニストの宮本(ジェリー藤尾)と同居し、二人で夢を追っていた。
次郎には、隣のブティックでお針子をしている久子(浅丘ルリ子)という恋人がいた。紆余曲折を経て、結婚することとなった次郎と久子。信州にいる次郎の親に二人で会いに行く約束の日、久子は駅に現れず、そのまま行方をくらましてしまう…。 

 


古典的な恋愛青春モノです。
事故を発端にした恋人同士のすれ違いと、夢を追う貧しい芸術家たちの成功&転落ストーリー。
ベタな展開なので、何となく先が読めちゃいます。それでも見どころはそれなりにあるし、この時代を知るにはとても良い作品かと思います。
ジェリー藤尾がなぜ捕まってしまったのかという点に関しては、この時代についてよく知らないと理解できないでしょう。私も初見の時はよくわからず、色々調べました。当時を知らない人間としては、とても勉強になった作品でもあります。

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「嵐を呼ぶ男(1957)」~~おいらはドラマー!

嵐を呼ぶ男(1957)
1957(昭和32)年/日活
監督:井上梅次
出演:石原裕次郎/北原三枝/青山恭二/小夜福子/芦川いづみ/金子信雄/岡田眞澄/白木マリ/笈田敏夫/安部徹
主題歌:「嵐を呼ぶ男」石原裕次郎


裕次郎の代表作のひとつであり、ドラムを叩きながら歌うシーンが非常に印象的な本作。
青年が一気にスターダムを駆け上がり仕事に恋に人生謳歌するわかりやすいスター誕生物語かと思いきや、実は母子の愛憎をテーマとした暗い青春映画だというのがミソでしょう。

 

【あらすじ】
シックスジョーカーズの人気ドラマー・チャーリー桜田(笈田敏夫)の扱いに手を焼くマネージャーの美弥子(北原三枝)。そこへ音大生の国分英次(青山恭二)が、兄・正一(石原裕次郎)を売り込みに来る。天狗になってステージをすっぽかしたチャーリーの穴を埋めるため、美弥子は早速正一を起用した。
チャーリーは持永興行と勝手に契約を交わして美弥子の元を去り、代わりに正一がシックスジョーカーズのドラマーとなる。しかし、母親(小夜福子)からは良い顔をされず、正一は美弥子の家で住み込みでドラムの特訓を重ねる。
ある日、正一は評論家の左京(金子信雄)と取引を交わす。チャーリー以上に売り出してもらう代わりに、左京と美弥子との仲を取り持ってやろう、と…。


冒頭のステージで歌うのは平尾昌晃。まだソロデビュー前ですね。イキの良い華やかなステージングに、初っ端から心を鷲掴みにされちゃいます。

元々ジャズドラマーだったフランキー堺(留置所の男)や、クレージーキャッツの安田伸(楽団のサックス奏者)といった音楽関係者も、ノンクレジットで出演しています。

日活名物・白木マリの謎ダンスも、この頃からやってたんですね~。

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「男はつらいよ 望郷篇」~~偉くなくとも地道な暮らし

男はつらいよ 望郷篇
1970(昭和45)年/松竹
監督:山田洋次
出演:渥美清/倍賞千恵子/長山藍子/森川信/三崎千恵子/前田吟/津坂匡章/井川比佐志/松山省二/杉山とく子/笠智衆/佐藤蛾次郎/太宰久雄
主題歌:「男はつらいよ」渥美清


長山藍子・井川比佐志・杉山とく子…と、テレビ版の寅さんファミリーが顔を揃えたシリーズ第四作目。
テレビ版でさくらを演じた長山藍子が本作のマドンナです。

 

【あらすじ】
つね(三崎千恵子)の冗談を真に受けて、竜造(森川信)が死にかけていると勘違いした寅次郎(渥美清)は、近所の人や葬儀屋に連絡したりと騒ぎを大きくしてしまい、竜造と喧嘩になる。そんな中、むかし世話になった正吉親分(木田三千雄)が危篤だと聞き、寅次郎は登(津坂匡章)と一緒に札幌へ向かう。息子に会いたいという親分の最後の願いを聞き、二人は親分の息子さがしに奔走するが、息子の澄雄(松山省二)は正吉を拒絶し、正吉はその日に息を引き取る。
戻って来た寅次郎は、地道に働く決心をする。
浦安の豆腐屋で真面目に働き始めた寅次郎は、店の娘・節子(長山藍子)に密かに思いを寄せるが…。


本作は「労働」という大きなテーマを通して、寅さんの人間的成長を見事に描いています。

さくらに説教されてその言葉に感銘を受け、親分の惨めな末路を目にしたこともあり、人生について考え直し地道に生きていく決心を固める寅さん。
さくらの言葉そのまんまに登や源ちゃんに得々と説教する寅さんの姿は、可笑しいやら切ないやら。なんにせよ、労働について真剣に考え、人として進歩を遂げる…よいではないですか!
「油にまみれる」ことに異常なまでに固執するあたりは大爆笑です。

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「新・男はつらいよ」~~憧れのハワイの地は遠く…

新・男はつらいよ
1970(昭和45)年/松竹
監督:小林俊一
出演:渥美清/倍賞千恵子/栗原小巻/森川信/三崎千恵子/前田吟/笠智衆/佐藤蛾次郎/太宰久雄/津坂匡章/財津一郎/佐山俊二/二見忠男/三島雅夫/横内正
主題歌:「男はつらいよ」渥美清


栗原小巻をマドンナに迎えたシリーズ第四作目。
テレビ版の演出を手掛けた小林俊一が監督を務めています。

 

【あらすじ】
競馬で大穴を当てた寅次郎(渥美清)は、名古屋からタクシーで柴又に帰ってくる。
竜造(森川信)・つね(三崎千恵子)に孝行しようと考えた寅次郎は、登(津坂匡章)が働く旅行代理店でハワイ旅行を申し込むが、出発当日になって旅行代理店の社長が寅次郎の金を持ち逃げしていたことが発覚。ハワイ旅行は夢と消えるが、近所の人たちに派手に宣伝してしまった手前、自宅に隠れて過ごすことにする。そこに泥棒が入って騒ぎとなり、結局近所の人たちに全て知られてしまった。この騒動で竜造と揉めた寅次郎は旅に出る。
一月後、寅次郎は戻ってくるが、自分が使っていた二階の部屋は人に貸されていた。下宿人の春子(栗原小巻)と対面した寅次郎は、すっかり春子に惚れてしまい…。


今回は冒頭とラスト以外は、寅さんはほとんど柴又にいるんですよね。
途中、一月ほど旅に出ていますがその描写はないし、羽田には行きますが東京から出てないし。こういうのもたまには良いですね、柴又の街の空気感が存分に感じられて。

ハワイ旅行と泥棒のあたりのドタバタ劇はかなり笑えますね。
当時のハワイ旅行といったら、庶民にはまだまだ夢のようなものだったでしょうからね。あそこまでみんなが浮足立って、寅さんがウキウキで日の丸風デザインのスーツを新調しちゃうのもわかるような気がします。
なんだかんだ言って、めちゃくちゃ楽しみにしてるおいちゃん・おばちゃんが可愛い。おばちゃんの洋装を見られるのは、かなり貴重ですね。ツィッギーを思わせるワンピース×カラータイツのファッションが、かなりイケてます。

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「男はつらいよ フーテンの寅」~~バカな男でござんす

男はつらいよ フーテンの寅
1970(昭和45)年/松竹
監督:森崎東
出演:渥美清/倍賞千恵子/新珠三千代/森川信/三崎千恵子/前田吟/春川ますみ/香山美子/花沢徳衛/河原崎建三/左卜全/笠智衆/佐藤蛾次郎/太宰久雄/悠木千帆
主題歌:「男はつらいよ」渥美清


新珠三千代をマドンナに迎えたシリーズ第三作目。
シリーズ全48作中、山田洋次以外が監督を務めた作品が2作ありますが、本作はそのうちの1本です。
今回は三重県の湯の山温泉を舞台に、番頭になった寅さんがドタバタを繰り広げます。

 

【あらすじ】
タコ社長(太宰久雄)の計らいで寅次郎(渥美清)に縁談が持ち込まれたが、その席に現れたのは寅次郎とは旧知の仲の駒子(春川ますみ)だった。駒子には亭主がいたが、浮気された腹いせに自分も男をつくってやろうと見合いにきたのだった。駒子と亭主の仲を取り持った寅次郎。二人の結婚式を挙げてやったまではよいが、その費用を全部とらやのツケにして竜造(森川信)たちと揉め、寅次郎はまた旅に出る。
一月後、湯の山温泉に旅行にやって来た竜造とつね(三崎千恵子)は、偶然にも宿泊先の旅館で寅次郎と再会。寅次郎は旅館の女将・志津(新珠三千代)の魅力にとりつかれて、番頭になっていたのだった…。


本作は監督が異なるということもあり、他に比べて毛色が違う作品になっていると思います。何とも言えない泥臭さがあっていいですね。

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「続・男はつらいよ」~~思い描いた瞼の母とは、ちっとばかし違ったが…。

続・男はつらいよ
1969(昭和44)年/松竹
監督:山田洋次
出演:渥美清/倍賞千恵子/森川信/三崎千恵子/前田吟/東野英治郎/佐藤オリエ/ミヤコ蝶々/風見章子/山崎努/笠智衆/津坂匡章/佐藤蛾次郎/太宰久雄


佐藤オリエをマドンナに迎えたシリーズ第二作目。
今回は寅さんの産みの母を巡って色んな騒動が巻き起こります。

 

【あらすじ】
一年ぶりに柴又に戻った寅次郎(渥美清)。
商業学校時代の恩師・坪内散歩(東野英治郎)の家に立ち寄ると、散歩の娘・夏子(佐藤オリエ)の美しく成長した姿に心奪われる。坪内家でご馳走になった寅次郎だが、良いものを食べ過ぎて胃痙攣で入院することに。ところが病院から脱走し、果てには飲食店で騒ぎを起こして警察の世話になる。さくら(倍賞千恵子)たちに迷惑をかけ、いたたまれなくなった寅次郎は、再び旅に出る。
一か月後、京都に旅行にやってきた坪内親子は、偶然にもそこで寅次郎と再会する。
実は母親捜しのために京都にとどまっていたという寅次郎。夏子に付き添われて母親に会いに行くが…。


序盤の寅さんは不快感すら覚えるとんでもない輩感満載なんですが、一転して中盤の母親捜しのあの流れは泣かせますねぇ。

寅さんは風見章子みたいなお上品なお母様を想像し再会を夢見ていたのに、目の前に現れた実母・お菊(ミヤコ蝶々)はキッツイおばはん。
お菊さんは一瞬だけ母親の温かい眼差しを見せますが、ハッと我に返り、口汚く寅さんを罵ります。あえて突き放すところに、息子への思いを感じて泣けますね。
芸者→連れ込み旅館の女将という人生を歩んできたお菊さんですが、息子を手放し、女一人でこういう世界でどんな思いで生きてきたのか、その思いを推し量ると何とも言えませんね。
後ろめたさやら何やらが複雑に絡み合うその心情が語られることはありませんが、そんな女の哀しさをミヤコ蝶々が素晴らしい演技で魅せてくれて、グッと心を掴まれます。

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「男はつらいよ」~~寅次郎、ただいま帰還!

男はつらいよ
1969(昭和44)年/松竹
監督:山田洋次
出演:渥美清/倍賞千恵子/森川信/三崎千恵子/笠智衆/光本幸子/津坂匡章/前田吟/志村喬/佐藤蛾次郎/太宰久雄


寅さんシリーズの記念すべき第一作目です。
全48作もあるので観る順番がバラバラになりがちなシリーズですが、一作目から順番にのんびりと感想を書いていこうと思います。

 

【あらすじ】
20年ぶりに故郷・柴又へと戻って来た寅次郎(渥美清)。
妹・さくら(倍賞千恵子)の縁談に付き添うがぶち壊してしまい、再び放浪の旅に出る。
旅先の奈良で御前様(笠智衆)と娘の冬子(光本幸子)に遭遇した寅次郎は、久しぶりに再会を果たした冬子の美しさに心を奪われ…。


私は数年前まで柴又のすぐ近くに住んでいたので(12年ほど住んでいました)、このシリーズを観るとその当時を思い出します。
帝釈天、水元公園、江戸川の河川敷…本当にすべてが懐かしく、オープニングの口上から泣けて泣けて仕方がないです。
以前住んでいたから感慨深いっていうのもありますけれど、泣ける理由はそれだけではないです。
私は今も故郷の田舎町からは離れて暮らしていますが、本作を観てあの口上を聴く度に、故郷から旅立った十八の春を思い出すのです。一度でも生まれ故郷を離れたことのある人間ならば、このオープニングはかなり沁みるものがあるでしょう。

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